理学療法士の偉い先生に言われた感銘を受けた言葉
私は介護施設で鍼灸の仕事を一時していたのだけど、
そこの介護施設での鍼灸は、置き鍼とせんねん灸のような台座灸を使って施術することがメインだった。
それを一気に4人とかする。
見守り係の人もいるのだけど、介護施設に通所(通われてる人)されてるかたってだいたいは半身不随の方で、
半身不随の方って、自分の体のどこかしらの感覚がないせいか、体が動いてる感覚がないようで、
「今、灸を付けてますから、とか、今針が刺さってますから動かないでくださいねって」言っても、
自分自身では動いたつもりでなくてもすごいよく動いてしまうとかってボチボチあって。
見守り係だって一気に数名を見守るので、いつの間にか人が動いてて、
置鍼の鍼がはずそうと思ったら1本どこかに行ってしまってないぞとか。
台座灸の火が洋服を焦がしてたり、別の皮膚について水膨れになってしまったりとかあって、
鍼はだいたいは見つかるけど、
お灸のこれらの件は、事故報告書をかかないといけなく、
これが鍼灸部門だけでとどまればいいのだけど、担当の看護師・介護士、ケアマネとかいろんな人たちに連絡報告、そして、家族への謝罪の電話とか、また、介護士の方も家族へ謝罪させることとなって、担当介護士や看護師は、医師にも担当者会議で話すことになるであろうし、、、
すごいややこしく胃が痛かった。
そんな日々の鍼灸業務を介護施設でしていたのだけど、そこには理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の方達もリハビリで勤めていた。
理学療法士の方でその当時、リハビリ部の部長をしてた方だったと思うけど、この人は理学療法士の業界(県レベル?かどうかわからん)ではそこそこ名の知れた人らしかった。何でこの人がここで勤めてるのってレベルの人なんだよって理学療法士の人から聞いたこともあった。(のちに理学療法関係の本とか書いてたようだ。)
日々、仕事をしていてごくまれであるが事故報告書とか書きつつ、ケアプラン?担当者会議とかに、鍼施術の成果とかのビフォアアフターみたいな観察も必要だったり。と過ごしているなか、
そのえらい理学療法士の方から、言われた言葉があって、
まず施術に1番必要なことは何か聞かれたんだったか、
私はこの時、理学療法士の方達って、これをしてこれがどれだけ良くなりました。って報告書を作らんといかんから、定期的な患者(施設利用者)の評価をすごい大事にしてるので。
ここの答えは、ビフォア・アフターの成果だと思っていた。というか、
「治療の一番の目的は、治療成果」だろって思うのが普通だと思う。
でも、ここで言われたのは、「相手にけがをさせない事・施術事故をしないこと」だ。
治療(理学療法士ならばリハビリ)の成果をあげるよりももっと大事なのは、ケガをさせないこと。
向こうは治したいって来てるのに怪我をさせたら真逆のことになってしまう。とのことだった。
そりゃあ、ごくごく当たり前なんだけど、
介護施設で鍼灸していたら、鍼灸師と患者だけの話に収まらず、もういろんな関係の各所に波及してるのがすごい分かったので、
この言葉はすごい感銘を受けた。目から鱗というか。
(もしかしたら鍼灸はあくまでも個々の施設ではサービスであって、リハビリとか介護がメインだから、そこまで頑張らないでいい。って意味だったのかもだけど。下手なことしないでね。って意味の釘刺しというか。)
理学療法で半身不随の方の歩行のリハビリ中にベッチーーンって床に倒れてしまうケースだってあるだろう。
そうしたらケガするし、やはり、リハビリ界の中でもリハビリ中にケガをさせないことが一番の重要な面といえるだろう。
鍼施術をしてるときに攻めたくなるときあってるんじゃないだろうか?
ここに硬結ないか?ここもうちょっと深くやったら効きそう!でも、、この部位に深刺しはちょっと危険か?みたいな、
ここ攻めたらもっと効果でそう!!ってことあるよな。
この時、効果優先なのか、多少のリスクをしょうべきなのか?って思考の天秤がある時がある気がする。
心の葛藤というか。
でも、上記の理学療法士の言葉を聞いてから、私はリスクはしょわないと決めた。
自分の医学知識の中で危険と思ったら、患者にはしない。
これ判別難しいところで、首に深刺しってするだろうか?
私の施術知識の中では首に鍼の深刺しはしないんだけど、鍼しても、深くは刺さない。
でも、とある鍼灸師は、首に深く鍼しても大丈夫と言うわけ。私は勉強をして首の構造を理解しているから。って感じで。「勉強をしてる人はできるんですよ。」みたいなことを実際言われた。
ここで書いた自身に満ち溢れた私よりも年数の少ない鍼灸師の方。
その人が教えてくれた本には確かに、首にも鍼をするページがあって、へええとは思ったのだけど、
私はどうにも怖くて、リスクがあると思えて。
私はリスクのありそうな施術はしないって決めたので、この攻めた施術はしないのです。
首に深刺しして、麻痺になった話を聞いたことがあるので。
危なくないかって、
そのことを上記の首に深刺しする鍼灸師にも話したのだけど、「それはドコドコに刺したからだ。私は体を理解しているから問題ない」みたいな返答だった。
本にも首に針するのが書いてあったし刺すポイントとしては大丈夫なんだろうけど。
リスクまでしょって施術する必要は私はないと思っている。
でもここで書いたアメリカ鍼灸学生(男性)のきいた話では、
鍼の研修で病院で研修するらしいのだけど、そこでは「そこ大丈夫なのかよ」ってかなりキレキレなところに深刺しするらしい。鍼灸でこんなところに針するとは思わなかった。鍼灸師目指すの無理かも。。どうしよう、、みたいな、文字だけの交流だったのでどこか分からないけど、そんな恐怖するようなキレッキレのところは日本の鍼灸学校ではしてないと思う。
これは価値観?の違いなんだろうけど、
施術事故ってのは基本パワー系だよな….
鍼施術で気胸とかってたぶん攻めすぎたんじゃないかって思う。肩とかの施術って肺も近いので、葛藤があるときって多いんじゃないかなって思う。
背骨の周りに鍼を深刺ししまくって死亡させてしまった事故もあったと思う(これはたしか鍼灸免許持ってない柔整師であったが。)
別のケースでは、老人の背の曲がった背骨を伸ばすつって、力まかせにボキッって、そのまま骨折させちゃうケースも聞いたことある。
施術事故って、強い治療効果を求めるあまりに、強度のことをしてしまって事故起こしてる気がする。
私の場合は、
理学療法士の偉い先生の言葉を聞いてから、
鍼灸施術でケガをさせないってことの重要性を意識して施術するようになった。あの言葉って私の中ではすごいありがたかった。
これによって攻める施術をしなくなって、「伝説の腕のいい鍼灸師への道」が遠ざかったかもしれない。
でもその方向性で今まで怪我をさせてこなかったというそっちの人生の方が私はいい。
治療よりも大事なことってケガをさせないこと。
鍼なんて灸なんて、低刺激で、ちょろっとやっても効果はあるからさ。
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